婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ふと声をかけられて我に返ると、護衛騎士のカイドが困ったようにこちらを見ていた。
「そろそろ閉校時間のようです」
 そう言われて周囲を見渡すと、いつの間にか図書室には誰もいなくなっていた。
 ユリウスの姿もない。
 カイドが言うには、ユリウスはふたりに声をかけて先に帰ったらしい。サルジュもアメリアも返事をしていたようだが、集中しすぎて覚えてなかった。
 味方だと思っていたのに、彼女も向こう側の人間だった、とカイドが小さく呟いている。
(向こう側って、どっち……)
 抗議をしたい気持ちはあるが、アメリアもかなり集中しないとサルジュについていけなくなる。だから本当に、ユリウスと会話したことを覚えていなかった。
 失礼なことはしていなかったかと、少し心配になる。