婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ユリウスがサルジュとアメリアの前に立ちはだかった。気にせずに行けということなのだろう。小さく会釈をしてから、アメリアは先を歩くサルジュの後に続いた。
 後ろから、ユリウスの声が聞こえてくる。
「悪いが、アメリア・レニス伯爵令嬢には、サルジュの研究の手伝いをしてもらっている。弟の研究は国にとって大切なものだ。彼女には、他の何よりもそれを優先してもらうことになる」
 アメリアの価値を伝え、不用意に近付かないように警告する言葉だ。
「し、承知いたしました」
 リースは震える声でそう答えると、そそくさと立ち去っていく。
「おそらくエミーラ・キーダリがどうなったのかを聞きつけて、何とかしようとしたのだろう」
 ふたりのところに戻ってきたユリウスが、呆れたように言った。