婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 名前を呼ばれて振り返ると、左右から現れた人影が、リースとアメリアを引き離すように前に出た。
「サルジュ様、ユリウス様」
 驚いて、思わず名前を呼ぶ。
 右側に、厳しい顔をしたサルジュが。
 左側に、呆れたような顔をしたユリウスが立っている。
 一応まだ婚約者であるリースの前だから、不用意にアメリアに触れることはなく、それでも確実に守ってくれる姿に、涙が滲みそうになる。
 急に現れたふたりの王族の姿に、リースもその恋人も驚きに目を見開き、我に返って慌てて頭を下げていた。
「アメリア。教室に迎えに行ったらいなかったから驚いたよ。昨日の資料について、さっそく聞きたいことがある」
 サルジュはリースの存在などもう忘れてしまったかのように、アメリアに話しかける。
「あ、はい。私でお役に立てることであれば……」