婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 リースのしたことは、アメリアが不在の中で悪評を広め、悪役にすることだった。もしサルジュとユリウス、マリーエと出会っていなければ、生きることにさえ絶望したかもしれない。
 そんなにひどいことをしておきながら、平気で恋人と一緒に現れ、声をかけてきた。
 なんて自分勝手で、残酷な人だろう。
「手を放してください」
 自分でも驚くくらい、冷たい声でそう言った。
 悪役にしたいのなら、そうすればいい。
 もう彼や周囲にどう思われようと、関係ない。アメリアは自分と領地の発展のために勉学に励むだけだ。
「アメリア、すまない。俺は……」
 リースは自分に酔っているような声で、ますます強く手を握る。
 いっそ思い切り引っ叩いてしまおうか。
「……っ」
 そう思ったところで、リースが急に怯んだように手を離した。
「アメリア」