婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 そのリースは真実の愛に目覚めて婚約を解消したがっているのに、アメリアは彼を罵り、ずっと拒んでいる。
 そんな噂が広まって、本人も知らない間に真実の愛を邪魔する悪女になってしまっていた。クラスメイト達もそんなアメリアを嫌い、疎んじていたはずだ。
 それなのに、それをすっかり忘れ、また無責任な噂を流そうとしている。
(嫌だわ……。こんな場所に居たくない)
 午後の授業がもうすぐ始まってしまう。でもアメリアは、そのまま教室を飛び出した。
「あら、どうかなさったの? もうすぐ午後の授業が始まりますわよ」
 中庭まで逃げ込み、ぼんやりと噴水を眺めていたとき、背後から声がかけられた。振り返ると、見覚えのある銀色の髪をした令嬢が少し心配そうにこちらを見ている。
「あなたは確かあのときの……。また大切なものを噴水に落とされてしまったの?」
「あ……」