婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 ユリウスの魔法は、アメリアに向けられた悪意を、嘲笑うエミーラの声も完璧に再現していた。
 たとえ彼女の罪が暴かれて償いを求められても、傷ついた心は簡単に回復しないようだ。
 アメリアは余計なことは考えないようにして、授業に集中した。
 午前の授業が終わった直後。
 食堂に行こうか少し迷っていると、また名前を呼ぶ声がした。
「アメリア、少しいいかな?」
 視線を上げると、今度はユリウスが入口から顔を覗かせていた。もちろん、背後にはふたりの護衛がいる。
「はい」
 クラスメイトの視線を受けながら、アメリアは立ち上がる。
 さすがに一日でふたりの王子に呼び出されたら、何かあったのかと思うに違いない。
 それでもしつこく尋ねる人はいないのは、楽かもしれない。
 アメリアはユリウスの後について歩きながら、そんなことを考えていた。