婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 クラスメイト達は、アメリアをどう扱ったらよいか迷っている様子だ。
 アメリアとしても、今さら仲良くなりたいとは思っていない。
 悪意を向けられなければ、それでいい。
 互いに関わらないのが一番だろう。
「アメリア」
 そう思っていたとき、ふいに名前を呼ばれた。
 聞き覚えのある声に顔を上げると、教室の入口にサルジュが立っていた。
「サルジュ様?」
 慌てて立ち上がる。
 彼の背後には、ちゃんと護衛騎士のカイドがいた。それを確認して安堵する。十年前のこととはいえ、あんな話を聞いてしまえば、学園内とはいえ彼がひとりだと心配になってしまう。
「今朝は、見送れなくてすまなかった」
「い、いえ。そんなことは」
 慌てて首を振る。
「兄達も義姉も、アメリアを気に入ったようだ。いつでも遊びに来てほしいと言っていた」
 サルジュはそう言うと、柔らかな笑みを浮かべた。
 周囲から視線を感じる。