婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 緊張して眠れなかったので、少し身体が重い。でも朝の澄んだ空気を胸いっぱい吸い込むと眠気も遠ざかり、頭も冴えていく。
 サルジュほどではないが、アメリアも学園に入学する前は魔法の勉強や資料の作成などで、つい朝まで熱中してしまうことがあった。
 少し眠りが浅かったくらい、何ともない。
 サルジュと自分は少し似ているのかもしれない、と思う。
 彼もそう思っているからこそ、地方貴族にしか過ぎない自分を気に入って、傍に置いてくれるのだ。
 ふと視線を感じて顔を上げると、隣の人もちょうど部屋を出るところだった。
 思わず挨拶をしようとして、口を噤む。
 入学当時に少しだけ仲良くなって、その後避けられるようになったことを思い出したからだ。
(エリカさん、だったわね)
 あのときは友人だと思っていたのでショックだった。