婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 きっと、それがアメリアである意味はあまりないのだろう。
 ただ彼の研究の手伝いをすることができて、サルジュも気を許しているのがアメリアというだけで。
 だからこそ頷くことができた。
「はい。私でよろしければ、精一杯務めさせていただきます」
 そう答えて、微笑んだ。

 忙しい王子達はひとりずつ抜けていき、気が付けばサルジュとふたりきりになっていた。でも彼は気にせずに、ずっとデータの解析をしていた。
「アメリア、この月の雨量はわかるかい?」
「はい、こちらに。気温も記してあります」
 昔からこうやってデータをまとめるのが好きだった。
 だが父は細かい数字があまり好きではなくて、アメリアが昔からひそかに書き記しているデータも、屋敷の倉庫で埃を被っているだけになっている。だからこんなふうに活用してもらえることが、とても嬉しい。