婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 エストの部屋だと手狭だということで、なぜか王族の居住区にある応接間に通され、侍女に高級そうなお茶を淹れてもらっている。
 アメリアはサルジュが経緯を説明している声を聞きながら、琥珀色のお茶をひたすら眺めていた。
 心細いことに、護衛騎士であるカイドは王族の居住区には入れないらしい。
 護衛騎士である彼が駄目なら、アメリアなんてもっと駄目ではないのだろうか。
 溜息をつきそうになるのを堪えて顔を上げると、目の前には四人の王子がいる。
 長兄で王太子のアレクシス。
 豪奢な金色の髪に、少し日に焼けた肌が大人の色気を醸し出している。威風堂々とした立派な王太子だが、弟達を見つめる瞳は慈しみに満ちていて、とても優しい。
 次兄のエストは、儚げな風貌の温厚な男性だ。