婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 人生は悪いことばかり続かない。それは母の口癖だったが、たしかにその通りかもしれない。
 やがて馬車はようやく王城に辿り着いた。
 先に護衛騎士のカイドが馬車を降り、周囲の安全を確認している。サルジュがそれに続き、アメリアに向かって手を差し伸べた。
「あ、ありがとうございます」
 サルジュを出迎えるために侍女や従者が並んでいたが、彼女達はアメリアにも丁重に頭を下げる。
 そして初めて訪れた王城の大きさと豪華さに圧倒されながら、アメリアはサルジュとともに王城に足を踏み入れた。
 広い廊下は光輝くほど磨き上げられ、歩きやすい柔らかさの絨毯が敷き詰められていた。
 大きな窓から降り注ぐ陽光が、壁に飾られた絵画や美術品を照らしている。もちろん劣化しないように魔法で保護されているようだ。