婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 だがそのために王城に行き、第二王子と対面するなんて、どう考えても荷が重すぎる。
「い、いえ。私が明日までにきちんと書き直しますので」
「これだけの量を書き直すのは大変だよ。それに、私も君に見てほしいものがある」
 それでも迷っていると、手を差し伸べられた。その手を無視することなんてできなくて、そっと握る。
 そのまま手を引かれて教室を出た。
 背後に付き従っている、たしかカイドと呼ばれていた彼の護衛騎士が、同情するような視線をアメリアに向けていた。
 だが、あの教室の中に取り残されても、どうしたらいいのかわからなかった。連れ出してくれて、よかったのかもしれない。
 こうしてサルジュに手を取られたまま学園内を歩くことになった。
 注目されていることはわかっていたが、アメリアとしては繋いだままの手が気になって、それどころではなかった。