婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。

 自分がどれだけのことをしてしまったのか、ユリウスの言葉でようやく理解したようだ。
 高慢な態度は消え失せ、許しを請うようにユリウスとサルジュを見つめている。きつく組み合わせた両手は細かく震えていた。
 今までの彼女からは考えられないくらい、哀れな姿だ。
 だがユリウスの視線は冷たいまま。
「たしかにそうかもしれない。だがアメリアの大切なものだということはわかっていたはずだ。それに、今回の件だけではない。逆らえない立場の人間に無理を強いたこと。信憑性のない噂で、クラスメイトを蔑んだこと。……君には失望したよ」
「そんな、ユリウス様……」
「婚約解消の手続きを進める。たしか、迷惑になるくらいなら身を引く覚悟はできていると、そう言っていたよね?」
 皆の前に出すことはなかったが、ユリウスは再現魔法で彼女がそう言ったことを知ったのだろう。