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その後、おそるおそる部屋を出た。
昨晩お風呂に案内される際、一緒に教えてもらったリビングの場所を目指す。
まぁなにがすごいって、一人暮らしなのに一軒家住みってとこだ。
マンションでも十分だろうに、あの人いったいなんの仕事しているんだろう。
廊下を進めば、突き当たりに玄関が見えた。
「うわぁ…」
外へ繋がる扉の取手には、何重ものチェーンが巻かれている。
決して私を逃がさないという強烈な意志と、執着が感じられた。
限界が来たら脱走でもしてやろうかと考えていたけれど…甘かった。
逃げる逃げないというレベルじゃない。
逃げられないんだ。
それ以外の選択肢は与えられない。



