「でも、もうそういうのはいいですから。 次は私がボコボコにするので」 にっこり笑う汐月。 ──強くなったな。 心から、そう思った。 自分のしてきたことが実になっている感覚に心が温かくなると同時に 今回の出来事で分かってしまった。 ぼくは、数時間前のことも忘れてしまうらしい。 言われれば思い出せるけど、きっと、いずれは言われても無駄な時がくる。 忘れたことすら、忘れてしまう。 そんな時が。