しづき



「まーそれは置いといて。いーよね?ぼくに汐月を愛する権利をちょーだいよ」


「だから…いやですってば」





目の前の壁に貼り尽くされてある、いつ撮られたのかも分からない私の写真を見つめながら答えた。
こんな状況の中でうなずけるわけ…ない。



それでも、男はまったくききわけがなかった。





「あきらめてよ汐月。好きなんだもん。なにもしないってゆーのはムリだよ」





なんて自分勝手な言い分だろう。





「それに、なにもせずに愛すとか不可能だし」


「愛してくれなんて頼んでません」


「でもそうしないと汐月は死んじゃうでしょ?」


「……」





死ぬわけない
……とは言いきれなかった。



あの時の精神状態なら、簡単に首など吊ることができていただろう。



腕にはすでにいくつもの自傷痕がある。



今は袖に隠れて見えないだけだ。