しづき



「あいつがさ、汐月のことを俺や兄さんの前で永遠と話しやがんだ。かわいいだの天使だの。写真だって数え切れないくらい見せられた」



それは、白がまだ元気な頃の話。



「一目惚れ。お前は見たことないくらい綺麗な瞳を持ってた」


「……っ」


「今だって変わんねぇよ。
やっぱりお前は綺麗だな…汐月」



男はふわりと微笑んだ。



ほのかな月明かりと相まって、とても穏やかなものに見える。



「最後まであいつにめいっぱい愛してもらえ。あのヘンタイの愛には嘘なんてひとつもねぇからな」



私の髪を乱暴な手が撫でる。



白とは全然違う、けど、しっかりと想いの伝わってくる手つきで。




「あ、最後にひとつ。
あいつは以前、画家をしていたんだ」


「へぇ…」


「絵描かせてみろ?
けっこう上手いと思うぜ。

それじゃあ幸せにな──しづき」




男は最後に私の名前をつぶやくと
颯爽と姿を消した。



ひらひらと、クリーム色のカーテンが風に揺れて

綺麗なウェーブをえがいた。