しづき








男は、開け放たれた窓に足をかけていた。



「おい、本当に逃げなくていいのか?」


「いいんです」



あの後、私を逃がそうとしてくれた男に
「ここに残る」と言った。



すべてを知った私に、男は心配そうなまなざしを向ける。



「…つらいぞ」



言われて、鼻がつんとする。



たしかにそうかもしれない。



そうかもしれないけど──




「それでもいいんです。
私、最後まで愛されてみようと思います」




白は1ヶ月しかない自分の時間を、私のために使ってくれている。



私の心を癒すために。
楽ではないであろう体を動かして。



泣き虫でわがままな私に無償の愛を注いでくれる。



そんな彼を誰が裏切れるというのだろう。



思い出す彼との記憶すべてが、愛しい。