しづき







「こっちだ」



腕を引かれ、地下から廊下へと上がる。



何度も行き来した茶色い床は、ずいぶん久しぶりに感じた。



男は階段へと向かった。



おもわず足を止める。



「おい、どうした?」

「私…2階に行くの初めてで…」



寝室もリビングも、すべて1階にあったから。



「ふっ…そうか。まぁそう気を張るな。
面白いものが見られるぞ」



男は薄く笑い、再び歩きはじめた。



ドキドキしながら階段をのぼって
連れていかれたのはある一室の前。



「あの…ここは」

「あいつの部屋」

「!」



白の…自室。



「なぁ、あいつ今までどこで寝てた」


「ええと…リビングのソファです」


「そうか。…そうだよな。
この部屋にはな、あいつ自身が触れたくないものがあるんだよ」


「触れたくない、もの…」


「そう。だから自分の部屋だってのに極力さけている」


「どうして…」


「答えは中だ。入るぞ」



男は躊躇いなく扉を開けた。