そういえば私…白が作ってくれた料理、まだ食べたことないよね…。
いつも、いつも。
いつか私が食べてくれるようにって、白は欠かさず私の分もご飯を用意してくれるけど。
いったいどんな気持ちでキッチンに立っているんだろう。
箸すらつけたことがないのに、それでも料理を作り続ける白。
献立を考えるのも
私の前にお皿を出すのも
綺麗なままのお皿をラップして片すのも
いったい、どんな気持ちだったんだろうか。
作ったものを美味しく食べてもらえることの喜びを噛み締めたぶん、今までの自分の行いが、とてもひどいことのように思えた。
心臓を握られるように痛かった。
「汐月どーしたの?食べないの?」
手が止まっていた私に、白の声が飛んでくる。
「い、いや。食べますよ」
誤魔化すように口に入れたクッキーは少しだけ、苦かった。



