それから中へ入り、白は広い敷地内を迷いなく進んでいく。
それでも歩幅は私に合わせてくれてとても歩きやすい。
もちろん手と手は恋人繋ぎで結ばれていて、緩む様子はない。
「うわ、あの男汐月のこと見てやがる。消してやろうか?」
さっきから止まらない白の物騒なつぶやき。
白…違う。
人々が見ているのは私ではなく確実に白の方だから。
こんなカッコイイ人そういないもん。
などと訴えようとも、こちらに向くすべての視線は敵だとみなしている白には通じない気がしたのでやめた。
「ねーあのカップルめっちゃ可愛くない?」
「おそろコーデとか仲良くないとできないよね」
ひそひそと。
オシャレなお姉さんたちが私と白を見ていた。
き、聞こえてます…



