しづき



辿り着いたのは、見たこともないくらい大きなデパートだった。



広い敷地内をたくさんの人が所狭しと行き交っている。



「汐月、これ付けて」

「…サングラスですか」



車から出る際、渡されたのは丁度よく目元が隠せそうな色素薄めのサングラスだった。



「ぼくらはあんまり人目を浴びないほーがいい関係性だからね。ちょっとした変装かな」



白はそう言い、私とお揃いのサングラスをかけた。
つんと高い鼻によく似合っている。



この男にも犯罪をしているという自覚があったのか。



たしかに、私と白は普通じゃない。



監禁し、されている関係だ。



もし私を探している人がいた場合、すぐにでも捕まえに来るだろう。



…ま、そんな人いないんだけどね。