しづき



とっさに逃げる策を考えた。



脳を動かして、ああしようこうしようって。



だけどひんやりとした生々しい足枷の感触が思考を邪魔してくる。



まるで無理だやめておけと言われているみたい。



私…閉じ込められてどうなるの…?



こわい……



震える指先を手の内に巻き込んでぎゅっとする。





「ねー、そんなトコ突っ立ってないでこっち戻れば」




私の気持ちなんて一切汲んでくれない言葉が飛んでくる。



恨めしい気持ちで視線を向ければ、男がかすかに息を呑んだ気がした。