長いまつ毛が伏せられる。
握られる手にはほんのり力が入れられた。
「正直…本気で殺しちゃおうと思った。
汐月がぼくの前からいなくなるのなら、いっそ…って」
「……」
「汐月と一緒に死ねるなら、どれほど幸せだろうか。もうそれしか考えられなくなった」
白は大きく息を吐いた。
自身の中にあるはち切れんばかりの想いを必死に抑え込んでいる様子は、見ている方もつらかった。
「だけど汐月が爪を立てて自分を傷つけたのを見た瞬間、違うって分かった。ぼくは汐月を傷つけてまで幸せが欲しいわけじゃない。笑顔の汐月と幸せになりたいんだ」
「……」
「だから、ごめんね、汐月。
最低だ…本当に。ぼくのせいで汐月自身に体を傷つけさせた。ごめん…ごめんなさい。何してんだろ、ぼく…」
白は怯えるように、私の手を両手でつつみ、その額に擦り付けた。
震える姿は、さっきまでの狂気に満ちた白とはまるで別人。



