しづき



全身が竦み上がる。



私自身が心臓になったみたいに、ドクンと胸の真ん中が大きく鳴り響いた。





「これでわかった?」





背後から、声。



私は錆びたマネキンのようにぎこちなく振り返る。





「汐月はぼくから逃げられないってこと」





気だるげに



私のあとを追うこともせず



ベッドの上に横たわる男。