「じゃ、行こうか」


「――うん」



弘樹は今も、東京に住んでいる。



そして――……

あたしは今日、東京に発つ。



一人で行くつもりだったのに、弘樹はわざわざ有給を取って迎えに来てくれた。



喫煙席のカウンターの一番はし。

そこが彼の指定席。



でも、今の指定席は、あたしの隣。

あたしの指定席も、彼の隣。