彼はタイミングを見計らって、軽い足取りで道路を渡ると、そのままの勢いであたしをギュッと抱きしめる。 「……久しぶり、茉莉」 耳元であたしの名前を囁く彼。 あたしもまた、彼に向かって言葉をかける。 「うん。ずっと会いたかったよ、弘樹」 彼のことを弘樹と呼ぶのは、なんだか照れくさい。 言ったあとで、決まってあたしの顔は熱く火照る。