あたしは目に涙を浮かべながら、みんなに感謝の言葉をもう一度、口にする。 着替えを終えて、高校を卒業してからずっと働き続けたこの店と別れを告げた。 外に出ると、冬の寒い風が肌を刺す。 白い息を吐きながら見上げた空は、もうすっかり暗くなっていて、星が輝いていた。 「おつかれーっ!!」 道路の向かい側から聞こえてきた、愛しい声。 行き交う車で見え隠れするのは…… ――あたしの大好きな人。