「あのさ」 増永さんは吸い始めたばかりのタバコの火を消す。 そして、ズボンのポケットをゴソゴソと探りながら、あたしに一枚の紙を渡した。 「………?」 見ると、携帯の番号とメアドが書かれている。 きょとんとしながら、そのメモを眺めているあたしに、増永さんは言う。 「もし、迷惑じゃなければ、連絡くれる?」 メモから目を外し、顔を上げると、そこには照れたように笑っている彼がいた。