「……彼女……も、一緒に行くんですか? 東京に」 思い切って訊くことができたのは、きっと、もう彼に会うことがないから。 最後にしか、素直になれないあたし。 なんて、バカなんだろう。 「彼女って?」 「ずっと以前に、ここに来た……。お弁当を作ってくれた……」 「あぁ、あれかぁー」 フーッとタバコの煙を天井に向かって吐き出したあと、増永さんは言った。