春日と呼ばれた茶髪店員は、腑に落ちないような表情で業務に戻った。 「悪かったね。迷惑かけて」 「いえ、ちょっとビックリしちゃって」 もしも、相手が彼じゃなかったら。 あたしはきっと、文句のひとつでも言っていただろうな。 申し訳なさそうに、何度も頭を下げる彼。 ドキドキする。 いつも、カウンター越しでしか接したことのなかった彼。 今はこんなに近い――。