「あ……珠洲島君ありがと。」

 予想外に素直な返事が返ってきて驚いてしまう。

 だけどすぐに「ううん。それよりも気分とかどう?」と話を逸らす。

「珠洲島君のおかげで、もうすっかり元気だよ。」

 満面の笑みでそう断言されてしまって、言葉に詰まった。

 俺のおかげって言ってくれたのがただ純粋に嬉しかった。

 そんなことで喜ぶ俺は、多分彼女に溺れてる。

 そんな中、俺はあることを聞いてみた。

「風音さんは……あんまり泣かないタイプ?」

「……そう、だね。人前では泣かないかな。」

 そう言って窓の外をふっと見る。

 ……また、そうやって悲しい顔をする。

 人前”では”ってところが引っかかったけど、彼女の有無を言わせないような声色で言えなかった。

 きっと、風音さんはたくさん抱えてると思う。

 好きだと自覚した今、俺にできることは何だろう。

 そばにいてあげること?彼女に頼られる存在になること?

 ……いいや、どれも違う。

 俺は風音さんの何なんだろう。

「授業、途中でしょ?珠洲島君、戻ったほうが良いんじゃ……。」