でも俺はすぐにそれが強がっているんだな、と分かった。

 こんなに不安が隠せてない表情で無理に行こうとするなんて……。

「まだ……怖い?」

 そう聞いてみると風音さんは「全然大丈夫。」と返してきたけど、明らかに声が上ずっている。

 俺は少し考えた後、風音さんをひょいっと持ち上げた。

 いわゆる、お姫様抱っこという形で。

「へ……す、珠洲島君何やって……!」

 案の定思っていた通りの反応が返ってきたけど、俺は静かに「誰かに見られたらどうするの。」と諭した。

 そう言うと風音さんも事の重大さは分かっているのか一瞬にして大人しくなった。

 俺は風音さんを抱えたまま人気のない道を通り、保健室まで風音さんを運ぶ。

 一応先生には許可とってあるから別にそこは心配しなくてもいい。

「失礼します。」

 そう言って保健室内に入ったけど、中は無人でとても静かだった。

 先生、いないのか……。

 勝手に入っていいのか戸惑ったけどまぁ大丈夫か、と思うことにして一番奥のベッドに風音さんを下した。