というか、何で俺の話……。

 興味本位で隠れて聞いていると、たくさんの罵詈雑言が聞こえてきた。

「あんた、他の人には冷たい癖に何なのよ!珠洲島君といる時は嬉しそうに話してるんじゃない!」

「特定の人だけに話するのって、最低だと思わないの!?」

「第一、あんたみたいな女が珠洲島君に釣り合うわけないじゃない!彼に近づかないでほしいわ!珠洲島君は、みんなの珠洲島君だもの!」

 ……何、言ってるの……?

 俺が、みんなの物……?

 そんなの、冗談じゃない。それに……。

「あんたみたいな最低女は、消えればいいのよ!」

「……っ。」

 ――どうして、彼女に酷いことばっかり言うの?

 さっきとは比べ物にならないくらいの怒りが、体の底から湧いてきた。

 ……なんで、そんな酷いことを簡単に言えるんだろう。

 パンッ!

 考えているうちにも、風音さんは傷を負っていく。

 平手打ちをされたようで、頬が赤くなっていた。

 それに追い打ちをかけるように、一人の女子生徒が風音さんを突き飛ばす。