「そうだよな。……でも、風音さんいっつも冷たいよな。」

「あ、それわかる~。誰に対しても塩対応っていうか……クール?」

「いやいや、あれはクール超えてただ冷酷なだけでしょ~。」

「それも否めないな……。」

「なんかとっつきにくいっていうか、話しかけ辛いっていうか……あんまり関わりたくないな……。」

 俺はその話を静かに聞いていた。

 その時、何か抑えきれないものがあった。

 俺は話していた人たちのところに行って、こう言い放った。

「ねぇ、好き勝手言わないでくれる?」

 そう言うと、場の空気が一瞬にして止まった。

 意外と低い声が出て若干驚きながらも言葉を連ねる。

「彼女のことを何も知らないような君たちに……彼女のことをどうこう言う筋合いはないと思うんだけど。」

 さっきの話がプラスの話だったらまだ良かったんだろうけど、マイナスなことばっかり言って。

 彼女の、何が分かるの?

「彼女……風音さんのことは、もう貶さないで。」

 俺はそう言って、その人たちから離れた。