俺が風音さんと距離を置いてから、もう一週間が経った。

 その間、俺から風音さんに話に行くことはなかったし、彼女からも何も言われなかった。

 仕事しているときでも会話を交わしてないし、お互いが知らんぷりしてるような状態だった。

 ……でも、なんでかな。

 自分からやり始めたのに……こんなにも心が締め付けられるのは。

 こんなにも……寂しいと思うのが。

 そんなことをつい最近まで考えていたけど、俺はその答えを見つけてしまった。



「環~、今日持久走だって~。マジ嫌なんだけど~。」

 一輝(かずき)がそう言って俺に話しかけてくる。

 一輝は俺の数少ない男友達だ。

 次の時間が体育だから、今は着替え中。

「なんでこんな日にやるかな~。」

 そんなことを言いながらも絶対楽しみにしてるな、と俺は悟る。

 だって、俺より足早いし。

 心の中で大きなため息を吐いてから、むさ苦しい更衣室から出た。

 日がかんかんと照っていて、まず暑い。

 五月だっていうのに、なんでこんなに暑いのか不思議だ。