無意識のうちに終わらせてしまった……。

 時計に目を走らせるとまだ下校時刻まで結構時間があった。

 先生がいないから本当はもう少しいたほうが良いんだろうけど……あんまりこの空間に長居はしたくなかった。

 珠洲島君と二人っきりという状況は好都合だけど、不都合でもある。

 だったら……早く帰ってしまおう。

 私は荷物をまとめると、そそくさと帰ってしまった。



 何をやってるんだろうと思いながら帰路につく。

「はぁ……。」

 今日何度目かのため息を吐いて、空を仰いだ。

 綺麗な夕焼けが浮かんでいるけれど、私の心は暗かった。

 聞いてみようと思ったのに、結局何も聞けず終い。

 叩き起こしてでも聞いてみることはできたのに……聞くのが怖かった。

 今度こそ、私自身を拒否されると思ってしまったから。

「あはは……。」

 それが妙におかしくて、乾いた笑みが零れる。

 何で私は珠洲島君に一喜一憂してるんだろう。

 それがここ最近の私の不思議だ。

 普通なら、私は”ある気持ち”に気付けたはずなのに……気付かなかった。