冷酷少女の複雑な恋模様

 意を決して、私はメールを見た。

《さっきはごめん。嫌な事、だったよね。考えなしに俺も言っちゃたから気にしないで。図書委員頑張ろうね。》

 何で……?

 何で珠洲島君は私に謝罪を……?

 嫌な気ってのはなかったけど、あんまり聞かれたくはなかった。

 だからって冷たくしていい理由にはならないはずなのにね。

 それに謝らないといけないのは私のほうなのに。

《ううん、珠洲島君が謝ることじゃない。私だって冷たく突き放すような言い方してごめん。……珠洲島君は優しいんだね。》

 私が返信すると、すぐに既読がつき、メッセージが届いた。

《俺は優しくはないと思うよ。だけど……ありがとう。》

 ううん、珠洲島君は優しい人だよ。

 こんな私に謝ってきたのだから。

 謝られるなんて慣れてないから、なんて言えばいいのか分からない。

「なんだか、どっちもどっちだなぁ……。」

 私は人のことを考えてないっていうし、珠洲島君は優しくないっていうし。

 それがなんだか面白くて、ふふっと笑みが零れた。