呆れ気味の私に先生はパンっと手を叩いた。

「これで話は終わり。今日はゆっくりもう帰って休んでね。珠洲島君も少し早いけど帰ってもいいわよ。」

 その言葉で寝落ちしそうな珠洲島君がゆっくりと瞬きをする。

「え、もう帰っていいんですか?」

 働いてなさそうな頭で先生の言葉を復唱すると、珠洲島君はゆっくりとした動作で席を立った。

「風音さん……帰ろう?」

「……あ、う、うん。では先生、明日からよろしくお願いします。」

 ぺこりと頭を下げると先生は、「気を付けてね。」と返してくれた。



 学校を出て、二人で並んで歩く。

 珠洲島君、いつにも増して眠たそう……。

 こっくりこっくりと首を動かして、危なっかしい珠洲島君。

 もう今日は珠洲島君を早く帰らせたほうが良いよね……。

 そんな結論に至って、以前教えてもらった珠洲島君の家に急いだ。

「行くよ、珠洲島君!」

「……え、うわっ、な、何するの~、風音さん~!」

 そうやって慌てふためく彼の背中を押して、家に急がせた。