その日を境にしてから、私と珠洲島君は放課後の図書室で何気ない話をすることが多くなった。

 本の話や、この学園の話などといろいろ。

 正直言うと珠洲島君と居ると飽きないし、楽しい。

 もちろん、休憩時間や普通の学園生活内ではいっちゃんと話すけど……。いや、いっちゃんしか話す人がいないんだけど。

 放課後はいっちゃんも部活だから、私は帰るか図書室に行くかの二択になっていた。

 そんなある日、先生からこんな話を持ち出された。

「風音さん、あなたさえよかったらなんだけど……図書委員にならない?」

「私が、ですか?」

 突然のお誘いに瞬きを繰り返しながらそう聞き返す。

「え!?風音さん、図書委員なってくれるの?」

 目の前に座っていた珠洲島君も便乗してくる。

 あ……ど、どうしたらいいものか……。

 これは強制じゃないし、私には断る権利があったはず……なのに。

 目の前には期待に満ちた目で見つめてくる珠洲島君に、隣には心配そうに、でも私に期待をしているらしい先生がいる。