冷酷少女の複雑な恋模様

「君が自分から、”探しに行く”って言ってくれたんだよね?」

 ……っ。

 図星を突かれてしまって、私は目を見開いた。

 だけど珠洲島君はお構いなしに言葉を発する。

「だから……それについてのお礼も言いたかったんだよね。」

 ……え?

 その時、珠洲島君が少し悲し気な表情をしていることを私は見逃さなかった。

 笑っているけど、何処か悲しそうな表情。

 私は気付いたけれど、珠洲島君はすぐに笑顔に戻る。

「ありがと。」

「……うん。」

 改めてそう言われると、やっぱり緊張してしまうもので。

 そんな小さなことしか、言えなかった。



「珠洲島君、送ってくれてありがと。」

 途中に珠洲島君の家があるのを教えてもらったけど、結局送ってもらってしまった。

 申し訳ないな、と思っていると珠洲島君が笑みを零す。

「ううん。俺がやりたくてやってるだけだから、気にしないで。」

 そう言って言葉を切ると、珠洲島君は言いにくそうにこう言った。

「連絡先……交換しない?」

「……え?」