……確かに、言われないと分からなかったけど意外と話せてる。

 これまでは他人と関わろうとしてこなかったせいで、距離感とか話題とか全然わからなかったけど……すんなり話せていることに自分自分が一番驚いている。

「ほんとだ……。」

 思わずそう呟くと、珠洲島君は「ほらね?」と言った表情で私を見た。

 それに……なんだか楽しい。

 珠洲島君と話してる時は当たり前だけど、いっちゃんと話している時と全く違う。

 違った楽しさがあるっていうか、面白みが違うっていうか……。

 そう考え事をしていると、珠洲島君が何かを思いついたように言った。

「風音さん、明日も俺と話してくれる?」

「……え?」

 突然言われたことに首を傾げると、珠洲島君はもう一度言い直した。

「だから、明日も俺とここで話してくれる?」

 改めて同じ言葉を言われて、一瞬驚いたけど言葉の意味を理解して私は勢いよく「……っうん!」と頷いた。

 珠洲島君は私の返答に嬉しそうにしながら、ほっと息を吐いていた。



「風音さんの家って、どっち方向?」