「えーっと、何してるんで……何してるの?」

 時々敬語になりそうなのを頑張って訂正しながら、そう目の前の人物に聞く。

 いっちゃんや間宮君なら全然なのにな……。

「ん~、何読んでるのかなぁって。」

 目の前の人物、もとい珠洲島君はさらっと言う。

 ……いや、緊張するんですけど。

 私はさっき、珠洲島君と図書室に戻ってきて、昨日の続編を見ようと本を開いたんだけど……いつの間にか目の前にいたんだよね、彼が。

 さっきから気にしないようにしているつもりだけど、じっと見てくる珠洲島君に緊張を覚えずにはいられない。

 普段は一人でいることが多いから人と居ること、しかも同い年の男の子と一緒にいるっていうことでさらに緊張が増す。

「へぇ~……ファンタジーもの好きなの?」

 突然珠洲島君がそう言ってきたので、反応が遅れたけれど何とか返す。

「ファンタジーっていうか、本全般は大体好き。」

 簡潔に返すと今度は「どんな本が好きなの?」と聞いてきた。

 どんな本、かぁ……。あんまり考えたことないけど、やっぱり……。