でも、言われてみればそうだ。

　俺に対してもさっきまで敬語で冷たく返していたから、もしかしたら風音さんは人との関わりが嫌いなのかもしれない。

「他の人じゃ、ダメなんですか？」

　ふと疑問に思ったことを聞いてみると、先生は困ったような笑みを浮かべた。

「えぇ。珠洲島君と話してる時の風音さん、とっても楽しそうだったから。それに……。」

　先生はそこで言葉を切り、一息吐いてから言った。

「珠洲島君も風音さんと話している時、楽しそうに見えたわよ。」

　……そうなのかな。

　確かに少し楽しんでいたし、興味が湧いたのは事実。

　でも風音さんはあんなに仏頂面だったのに、楽しいってどうしてわかったんだろうか。

　そんな俺の心を見透かしたのかのように、先生が微笑む。

「先生の勘よ。」

「そうですか……。」

　少し呆れながらも俺は話を聞いて、こう決断を下した。

「分かりました。僕も彼女には興味がありますし。」

　そう答えると先生は笑顔になって「良かったわぁ～。」と安堵の息をついていた。