確かにそうだけど……と思いながらも負けじと提案してみた。

 これならいけるかも……!

「なら、俺と話すときは敬語外して?」

 懇願するようにお願いすると、風音さんはうっと言葉に詰まり、渋々ながらも了承してくれた。

「分かりました……じゃなくて、分かった。」

 慣れてなさそうなタメでそう返してくれた風音さんに、俺は自然に笑顔を返していた。



「先生、珠洲島君いましたよ。」

 図書室に入るなり、そう言い放った風音さん。

「あっ、良かった!見つけてきてくれてありがとうね、風音さん!」

 そう言ってぱあっと顔を輝かせ、こっちに近づいてくる先生。

 その表情がどれだけ俺が心配をかけたのかを物語っている。

 そのまま先生は風音さんの手を取り、嬉しそうにしていた。

 一方風音さんは、さっきよりも頬が緩んでいるてやっぱり嬉しそう。

 うーん、相当迷惑かけてたみたいだなぁ……。

 心の中で反省しながら、そのまま口に出す。

「先生、心配かけてすみませんでした。」

 そう言って息を吐くと、先生は「無事で何より。」と言ってくれた。