だけれど、すぐに視線をこちらに戻して口を開いた。

「ありがとう。すぐに戻るよ。」

 その時に浮かべた笑顔が……とても素敵で私は一瞬釘付けになってしまった。

 それと同時に胸がドキッと高鳴る。

 ……何でこんな乙女思考になってるんだろう、私。

 自分の考えを振り払って、私も同じように笑顔を浮かべた。

「いえ……大したことはしてないので……。」

 そうすると、何故か珠洲島君は顔を真っ赤に染めてしまった。

 ……えっ!?

 突然のことに頭がついていかず、一人であたふたする。

「だ、大丈夫ですか……!?あ、えっと暑いですか!?冷やしたほうが良いのかな?でも、熱だったら冷ましたらダメだし……。」

 周りを見ながら慌てる私に珠洲島君は笑った。

「ふふっ……慌てすぎ。」

 その声に気づいて珠洲島君のほうを見ると、楽しそうに笑っている。

 その途端に恥ずかしくなって、私は急激に顔が熱くなっていった。

 しばらくしてようやく落ち着いてきた珠洲島君と一緒の部室を出る。

「あー、寝ててすっかり忘れてたなー……。」