そして……ぐっすりと熟睡してしまっている珠洲島君。

 寝てる……どうしよう。

 私はそう思いながらも彼に近づき、声をかけてみる。

「あ、あのー……。」

 だけど一向に起きる様子がない。

 ……って昨日と立場が逆だ!

 そんなことに気付きながらもしながらもう一度声をかけてみる。

「あっ、あの……!」

 さっきよりも声を張ると、珠洲島君はゆっくりと瞼を開けて体を起こした。

「んー……。」

 小さく声を出しながら伸びをして、こちらを見た。

「君……昨日の子?」

 何を言われるんだろうと身構えていると、聞こえてきたのは疑問。

「は、はい……。」

 何で起こしたの?みたいなことを言われると思っていたから、そんな素っ頓狂な声が出てしまった。

 ……はっ、そうだ!目的を忘れかけてた!

 私はここに来た本来の目的を珠洲島君に伝えた。

「田辺先生、あなたのこと呼んでたので……代わりに呼びに来ました。」

 毅然とした態度でそう言うと、珠洲島君は目を見開いてから何かを考えるような仕草をした。