私はそんな気持ちを振り払うように頭を左右に振る。

 先生は机の周りの物を片付けている最中。

 確かいっちゃんの話では……結城先生も有名なんだよね。

 結城先生もイケメンだけど、やっぱりよく分からないや。

 今度いっちゃんに聞いてみようかな。

 そう思いながら作業を続けていると、突然先生から声を掛けられた。

「風音さんは、確か理系が苦手なんでしたよね?」

「はい。基礎はできるんですけど、応用とかが苦手で……。」

 数式や法則とかの活用がいまいちよく分からない。

 どうやったらできるようになるんだろう……。

 私がうーんと頭を悩ませていると、先生がこんなことを言った。

「理科は私が教えてあげられますけど……数学なら珠洲島君に聞いてみたらどうですか?」

「え?珠洲島君に、ですか?」

 突然言われた言葉を反芻して理解しようとする。

「はい、珠洲島環君です。彼は数学と美術の成績が学年トップですからね。きっと良い先生になってくれるんじゃないでしょうか。」

 そうなんだ、なんだか意外だなぁ……って失礼だよね。