冷酷少女の複雑な恋模様

 その好青年を澪だと理解するのに、時間はかからなかった。

「わぁ!やっぱりその服環に似合ってたね!流石私のセンス!」

 そう言いながら嬉しそうに微笑んでいる姉さんの声が聞こえる。

 センス……が合っているのかはどうかは知らないけど、そんなことは考えられなかった。

 澪が……あまりに似合いすぎていたから。

 かっこいいと可愛いが合体したような……言葉に表せないくらいの愛らしさを纏っている澪。

 そんな澪に、見惚れてしまっていた。

「どう澪ちゃん!すっごくかっこいいでしょ!」

 珠梨姉さんが自信満々に言い放ち、ふっふーと口角を上げている。

 姉さんの言葉に正直同意したくないけど、確かにこれはかっこいい。

 いや、澪の可愛さが隠しきれてないから可愛いだ。

 どちらにしろ、澪に似合いすぎている。

「た、環君可愛い……っ。」

 澪は恥ずかしそうにしながらも、そんな言葉を言ってくれる。

 男に可愛いはどうかと思うけど、あからさまに上機嫌にはなった。

「澪もかっこいい。すっごく似合ってる。」