澪に免じてやってあげたんだから、澪に会わせて。

 姉さんにそう言って鋭い視線を向ける。

 玲姉さんはそんな俺に一瞬だけ意味深な視線を向けてから「分かったわ。」と言った。

「環、着いてきなさい。」

 はぁ、こっちは澪不足で死んじゃいそうなんだから。

 そんなことを考えながら、姉さんについていく。

 というか、澪にも男装って……なんていうことをするんだろうか。俺のなのに。

 その言葉を噛み締めながら、こっそりと澪の男装姿を楽しみにしていた。



「珠梨、環連れてきたけどもういいかしら。」

「うん!こっちも準備オッケー!」

 玲姉さんの言葉にハイテンション珠梨姉さんがそう返している。

 そのハイテンションに逆にこっちが疲れてしまいそうだった。

 玲姉さんは俺に何故か視線を移してから、キッチンダイニングへのドアをガチャッと開け中に入った。

 俺も姉さんの後ろについて中に入る。

 その瞬間、息を呑むような光景を目の当たりにした。

 珠梨姉さんの隣に恥ずかしそうに立っている好青年が俺の瞳に映る。